ダチュラな私。

時間はあっという間に過ぎて行き。

太陽が色を変えて沈んでいくその姿を、私はただ一人、眺めていた。

ワンピースの裾を揺らす海風は楽しかった今日の終わりを告げているようだ。


「花。行くぞ」


もう少しで、世界の色が変わる。

橙と紫が入り混じる世界の下でその瞬間を見届けようとしている私の邪魔をするように、一成の声が響いた。


「……うん」

振り返りもせずに適当な返事をする。

遠くの方からは、聖羅と爽吾君が騒いでいる声が聞こえてきた。

もう駅に向かって歩き出しているのだろう。

じゃんけんの掛け声が聞こえたので、どちらが荷物を持つのか勝負しているのかもしれない。


このままでは置いていかれる。

それはわかっているけれど、あと数秒。

たった数秒で世界の色が……
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