ダチュラな私。
「ほら。行くぞ?」
だけど世界の色が変わるその瞬間、私の手は温かい熱によって捕らえられた。
振り返るとそこには色を変えた世界の中でも変わらない一成がいて。
片方の手に自分と私の荷物を持ち、もう片方の手でしっかりと私の手を握っていた。
視線を一成の後ろへと移すと、そこには聖羅と爽吾君の背中が映る。
世界が変わる瞬間を見逃した私は、一成に手を引かれながらその背中を追う。
邪魔をされてむかついているはずなのに、私はその熱を振り払えなかった。
なんとなく空を見上げると、色を変えた世界を太陽に代わり、星と月が照らしていた。
それは太陽とは違い、とても弱々しい光だったけれど。
それでも充分に美しい光だった。
世界が変わる瞬間は見れなかったけれど……まあいいか。
私は視線を下げてただ引かれるまま、色が変わった世界を一成と並んで歩いていった。