ダチュラな私。
だけど爽吾君は天然だからこそ、曖昧さを許してくれないところがある。
とても真剣なその表情はいつもの爽吾君とは違っていて見惚れてしまいそうだ。
「最初はね、大嫌いだったの。
でも今は……よくわからないの」
本当にぬいぐるみさえなければ完璧なのに。
そんな失礼なことを考えながら、出来るだけ本心に近い言葉を選んで爽吾君に伝えた。
一成に対する気持ちは複雑過ぎて、私の語彙ではとても表すことは出来ないのだ。
もちろん、一成のことを嫌う気持ちはもうなくなっている。
けれど“好き”とは違う気もするし“嫌いではない”では誤解を招きそうだ。
だから、これが爽吾君の問い掛けに対する、私の精一杯の答え。
「そっか」
これ以上聞かれたら本当になにも答えられなくなってしまう。
だけど爽吾君は私の答えに満足したように満面の笑みをこぼした。