ダチュラな私。

自分のせいで皆が何も言えなくなっているというのに、虎は意に介さずといった感じでニコニコと笑っている。

関西の人って、皆こういう感じなの?

虎を見ながらそう頭を悩ませていると、ニコニコとしていた表情がニヤリとした意地の悪いものへと変化した。


「それに……胸もこんなに大きいし」

セクハラで訴えれば、かなりの確率で勝訴出来そうな台詞。

その台詞にカチンとくる前に、胸になんだか違和感を覚えた。

相変わらずニヤリとしている虎から視線を逸らし、自分の胸元に視線をやる。


私の胸には、なぜだか指輪やブレスレットで飾られた虎の手が触れていて。

事実を確認したあと、もう一度、虎に視線を向けると意地の悪い笑みは消えていて機嫌よさ気に笑っていた。


「きゃあー!!」


全てを理解した瞬間、声と同時に思わず手が出てしまい。

バシンッ、ととても良い音がなった。
< 167 / 342 >

この作品をシェア

pagetop