ダチュラな私。
頬を押さえながら完全に座り込んでしまった虎が視界の端に映る。
私は胸を両腕で隠しながら、慌てて体の向きをかえた。
本当は走って逃げ出したいところだけれど、あまりの衝撃に腰が抜けているのかどう頑張ってみても足に力が入らない。
「ちょっと虎!!ぶん殴るわよ!!」
「花ちゃんになにしてんだよ!!」
「虎……お前今すぐ大阪かえれよ」
部屋のあちこちから声が飛んでくる。
一成の言葉に、やっぱり関西出身なんだ、とこんな状況だというのに納得してしまった。
「花っていうんか!俺、瀧山(タキヤマ)虎!よろしくな」
全員の怒りを一身に受けているというのに、明るい声で自己紹介をする虎。
恐る恐る虎に視線をやると、その表情は自分が何をしたのかなんてわかっていないように晴れ晴れとしていて。
私は思わず、こくんと頷いてしまった。