ダチュラな私。
理由
「おっ、一成。それ一口ちょーだいや」
一成が食べているプリンを狙って、虎が食べさせろと言わんばかりに大きく口を開ける。
まるで餌を欲している雛鳥のようだ。
そんな虎に一成が素直に餌をあげるわけもなく、プリンは虎の鼻の頭に激突した。
「ちょ、そこちゃうって!
口はもうちょい下や!」
何度も鼻の頭にスプーンをぶつける一成に、虎が必死で口元を指差す。
いや、わざとだって。
誰もがそう言いたい気持ちをおさえて、しばらくそのやり取りを見ながらケラケラと声を出して笑っていた。
あのあとは結局、一成が虎の頭のてっぺんにげんこつを落としたことによって、円くおさまった。
私も虎の全く悪気のない態度のせいか、そんなに怒ることもできなくて。
それは皆も同じ気持ちだったのか“今後は絶対に触らない”ことを条件に、許すことにした。