ダチュラな私。

「なんで大丈夫かどうかわかるんだよ。もしなにかあったらどうする気だ?」

それなのに一成は私の手首を掴んだまま離してくれない。

手首を掴むその力は強くはないのに、絶対に離さない、と言っているようだった。

どう言えば納得してくれるのだろうと、私がそう頭を悩ませていると。

「なあ、どうせなら歩いて帰らへん?俺、もっと花と話したいし、電車賃も浮くし」

一石二鳥やろ、と虎は得意げに笑った。


確かに歩いて帰れば電車賃は浮く。

ここから私の家までは歩いて二〇分弱くらいだから、歩いて帰れない距離ではない。

でも虎の言っていることは、やっぱり私を送ることが前提の話だ。

そうなると一成と虎は私を送ってから、引き返すことになってしまう。

私のために貴重な時間と体力を、使わせるわけにはいかないのだ。
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