ダチュラな私。
ちゃんと一人で帰れるって言わなきゃ。
だけど私が口を開く前に、なぜか体が勝手に動いてしまった。
犯人は言うまでもなく一成だ。
「ちょっと一成!私、電車で帰るから!」
「うるせえ。人ん家の前でいつまでもごちゃごちゃしてたら迷惑だろ。
それに龍斗と龍希もあんま待たせたら可哀相だし、さっさと帰るぞ」
一成は私の意見なんて聞かないくせに、スタスタと歩きながら正論を言う。
こんなふうに言われてまだ一人で帰ると意地を張れば、私はただの駄々っ子だ。
「花。諦め。あいつ、見た目通りの頑固者やから。何言っても無駄やで」
私の隣を歩く虎が、小さな声でそう言った。
そんなこと、知ってるわよ!
と、怒鳴りたい気持ちをなんとか抑え、私は虎のクスクス笑いに耐えながら二〇分と少し、歩く覚悟を決めた。