ダチュラな私。
「一成もありがとう」
放っておいたらいつまでも頭を撫で続けそうな虎の手をやんわりと外して一成を見る。
一成はぼーっとしていたのか、私の視線が自分に向いていることに気が付くと急に慌て出した。
その姿は本当に一成らしくない。
もしかして帰り道も不機嫌だったのではなく、体調が悪かったのでは、と思う。
「じゃあまたな」
「あっ、ちょっと……」
だけど一成は、私に質問する時間すら与えてくれず。
不機嫌そうに眉間にシワを寄せると、踵を返してさっさと帰っていってしまった。
競歩並のスピードで歩いていく一成。
そんなに早く帰りたかったのかな、と背中を見ながら申し訳ない気持ちになっていると。
「ちょ、一成待てや!」
私の隣に立っている虎が、慌てて一成を呼び止めた。