ダチュラな私。
待ち合わせ
駅前のロータリーは夏休みだからか、平日だというのに人で溢れていた。
特に駅の出入口付近はかなりの人口密度だ。
本当は駅の中にあるコンビニで涼みたかったけれど、今はあそこに近付きたくもない。
私は駅の中に入ることを諦めて、ロータリーにポツリと植えられている木の下に置かれたベンチに座った。
太陽の下にいるよりは幾分か涼しいような気がしたけれど、それでもまだまだ暑い。
陽炎が揺れるアスファルトにうんざりしながらロータリーの真ん中にある大きな温度計を見ると、現在の気温は三四度だった。
まだ一一時にもなっていないという事実が、私をさらに追い詰める。
昼過ぎになったときの気温を想像すると、今すぐ家に帰りたくなった。
だけど、約束をしたのは私だ。
約束を破る訳にはいかない。
私は汗ばむ額をハンカチで拭きながら、彼が到着するまでひたすら耐えることにした。