ダチュラな私。
だけどホッとしたのもつかの間。
今、自分が普通でない行動をとったことに気が付いた。
普通、後ろから肩を叩かれたくらいではこんな反応はしないはずだ。
「……ありがとう」
私の肩から手を離して、前に回り込んできた虎の様子を窺った。
虎は相変わらず柔らかく笑っているけれど……なんとなく、虎も私を窺っているような気がする。
根拠も理由もないけれど、それは確信に近いものだった。
何か聞かれたらどうしよう。
私はあんな醜態を見せたくせに結局、聖羅にも爽吾君にも詳しいことは話さなかった。
ただ昔、ストーキングされて嫌な目にあったとしか説明していない。
二人はそれで納得してくれたけれど、虎はもっと詳しく聞いてくるだろう。
そして私は、一成と似ているその瞳で聞かれてしまえば、ごまかせる自信はなかった。