ダチュラな私。
くるりと振り返った虎。
すでに三つ持っている紙袋が、遠心力によってふわりと舞った。
振り返ったその表情は本当に嬉しそうで私も連れてきたかいがある。
だけど。
後ろから声をかけた私が悪いんだけど。
お願いだから前を向いて歩いてほしい。
私は少し小走りで、虎の隣に並んだ。
「あるけどな。やっぱり違うねん。
店の雰囲気も店員さんの雰囲気もな。それにおいてある商品も微妙に違うし」
虎は少し顔を寄せてきて、まるでとっておきの秘密のようにそう教えてくれた。
もちろん私は関西にある店舗がどんな雰囲気なのか知らないし、品揃えも知らない。
だから虎が言っていることが事実がどうかなんて、確かめようはないんだけど。
虎にそう言われると、それが事実なんだとすんなりと思えてしまう。
「へえ、そうなんだ。すごいね」
なので私は素直に感嘆の声を出して、虎と一緒に次のお店へと突入した。