ダチュラな私。

カリスマ



ファッションビルを上から下まで隅々まで見て回りまた一階まで戻ってくると、気が付けば二時間ほど経っていた。

そして虎が購入した商品は、恐ろしい量になっていた。


もう少し具体的に言えば、虎の手には紙袋が三つずつ持たれている。

ちなみに、どの紙袋も一番大きいサイズだ。

いくらここがファッションビルだと言っても、このサイズの紙袋を六つもぶら下げているのは辺りを見回す限り虎だけだ。


私は途中、かなり本気で虎は買い物依存症なのではと疑ってしまった。

まあ事実はただ単に、ここに来るためにお金を貯めていたらしいけど。

それでもやっぱり、買い過ぎだと思う。


「……結構買ったね」

隣を歩く虎にそう話し掛けてみた。もちろんこの言葉には呆れた感情も含めている。

だけど虎は私の言葉に反省する素振りも見せず、むしろ自慢げに笑った。
< 192 / 342 >

この作品をシェア

pagetop