ダチュラな私。

虎が私の元へやってきたのは二〇分以上、時間が経ってからだった。

ごめんなあ、と、そう思ってはいないであろう口調に少しムカつきはしたけれど。

私はそれを責めることはせず、曖昧に笑って見せた。


だってカウンターのお姉さんが二人掛かりで四苦八苦しながら荷物をダンボールにまとめている姿は、遠目から見ていても気の毒だったから。

待たされた二〇分はお姉さん達の努力に免じて、なかったことにした。


「おっ、あのアクセかっこいいやん」

それなのに虎は反省もせず。

歩き出すとほぼ同時に、近くにあったアクセサリー店へと私をほったらかして、小走りで行ってしまう。

さすがに止めようか悩んだけれど、虎は止めても言うことをきくタイプではない。


あのお店を出たらお昼ご飯に誘おう。

そう心に強く誓って、私は店先に飾られているアクセサリーに夢中になっている虎の背中に向かって、足を進めた。
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