ダチュラな私。

店先のアクセサリーを物色している虎の横顔は、とても真剣だった。

今は私には同じにしか見えないターコイズのペンダントを見比べている。

真剣になっている虎の邪魔をしては悪いので、私は虎から視線を外して周りに向けた。


すると、通路を歩いている人や壁際に立っている人達と目が合う。

……またか。

私は特に気にせず、天井から吊るされている大きなポスターに目をやった。


あの人達が見ているのは、私ではなく虎だ。

薄い色のダメージジーンズ。
蛍光色のTシャツ。
アシンメトリーなスニーカー。

今日も虎はド派手だった。

さらに言えば、一歩間違えればダサくなってしまうこの服装も、よく似合っている。

南国系の派手な顔立ちは好き嫌いは分かれるだろうけれど、客観的に見てかっこいい。


それに、なにより。

私も今日気付いたことだけれど、虎には自然と人を引き付けてしまう何かがあった。
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