ダチュラな私。

自分でも本当に馬鹿だと思った。

素直に欲しいものがあったと伝えればよかったのに。

今からでも本当は欲しいものがあると言えば、虎は笑って会計が済むのを待っていてくれるのだろうけれど。

いらない、と意思表示をしてしまった以上、やっぱり欲しいとは言い出しにくい。


「ねえ、そろそろお腹空かない?」

私は自業自得と自分に言い聞かせながらピアスを諦めて、予定通りご飯に誘ってみた。

すると虎は何かを考えるように、お腹に手を当てて何度かさする。


「そういえば、確かに腹減ったなあ……」

そして言われて初めて、お腹が空いていることに気が付いたらしい。

さっきまでは買い物に夢中で元気いっぱいだったのに、お腹をさすりながら眉尻を下げて空腹をアピールしてくる。

「じゃあなにか食べに行こっか?」

私は苦笑しながら、出入り口を指差した。
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