ダチュラな私。

テープを剥がしても袋の口を開けても、なにかが飛び出してくることはなかった。

どうやら悪戯ではないらしいけれど……まだ油断は出来ない。

私はドキドキしながらも覚悟を決めて。

袋を逆さにして目を背けながら、自分の左手の上へ袋に入っているものを落とした。


手の平にシャラシャラとした軽い感触と、ほんのり冷たい感覚が走る。

袋の中身はやっぱり金属だったらしい。

それを手の平の上で揺らしながら、変なものではないと判断したあと。

ゆっくりと手の平へと視線を向けた。


「嘘……」


そして左の手の平に落ちてきたものを見た瞬間、思わずそんな独り言がもれてしまった。

三本のシルバーチェーン。
輝くスワロフスキー。
ビーズで作られた花。

私の左の手の平には、あのお店で売っていたピアスがキラキラと光っていた。
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