ダチュラな私。
プレゼント
「やっぱり混んでるね」
ファッションビルに足を踏み入れると、この間来たときより人が多いような気がした。
通路もエスカレーターもエレベーターホールにも人が溢れかえっている。
キョロキョロと周りを見回したあと隣に立つ一成を見ると、その顔はまだ何もしていないのに疲れきっていた。
「もうすぐ夏休みも終わりだからな」
「あっ、そっか。そういえばあと一週間くらいだって龍希と龍斗が言ってたな」
だるそうな一成は放っておいて、一人で勝手にそう納得する。
頭の中には、宿題に追われている双子を思い浮かべていた。
ちなみに、私達の学校は十月まで夏休みだ。
テストを一回でパスして追試がなければ、約二ヶ月半ほど学校に行かなくてもいい。
だからこそ世間の夏休みがいつまでなのかということを、すっかり忘れてしまう。
そういえば今日は週末だし、人出が多く当たり前なのだ。