ダチュラな私。

わざわざ夏休み終了間際の、しかも週末なんかにファッションビルに来てしまったのだから人込みは我慢しよう。

別に私達は他の日でもよかったんだし。


だけど……人込みが大嫌いな一成はそうは思えないらしく、盛大に舌打ちをする。

それを自分達に向けられたものだと勘違いしたのか、一成を見ていた女の子達が慌てて視線を逸らした。


「行くか?
あいつらのプレゼントは決めてんだろ?」

そんな女の子達に全く気付いていない一成は、さっさと今日の目的を済ませて帰りたいのか上を指差す。

その眉間には深いシワが寄っていた。

普段でも無愛想で不機嫌に思われるのに、本気で不機嫌な今の表情は怒っているのだと勘違いされても仕方がない。
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