ダチュラな私。

耳に感じる熱に、心臓が揺れる。

横目で虎を見るとその顔は満足げに笑っていて、耳を撫でていた。


私の耳で光っているのは、こないだ虎がくれたピアスだ。

大人っぽいかな、と不安だったけれど付けてみると思っていたより可愛らしかった。

今日着ているパフスリーブのアイボリーのワンピースとの相性もバッチリだ。


「でも……本当にもらってもいいの?」

髪をハーフアップにして、ピアスを見せて。

お気に入りです、と主張しているくせにそう聞く私はとても矛盾している。

だいたい虎が返せと言わないことを、私はわかっているんだから。


だけど、わかっていても聞かずにはいられないのが、私という人間だ。

こういうときは“一応”遠慮しているそぶりを見せる、ということが体に染み付いてしまっている。

こんなところを一成に見られたらまた嫌われそうだな、と頭の隅で考えていた。
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