ダチュラな私。
鋭い視線は睨んでいるわけではないのに、本当に恐かった。
その視線を向けられていない私でもそう感じるのだから、この男達が感じている恐怖はかなり大きいものだろう。
私は目の前にいる虎が、あの虎だとは信じられない気持ちだった。
「おい。行くぞ。腹減った」
すると空気を読んだのか読んでいないのか、一成がそんなことを言う。
虎から視線を外して一成に向けると、一成は呆れたような顔をしていたけれど。
漆黒の瞳はやっぱり、鋭いままだった。
「それもそうやな。行こか」
虎は一成にそう同意しながらも男達から視線は逸らさず、私のほうなんて見ていないはずなのに、私の手を掴んできた。
その行動の意味を考えるより先にそのまま手を引かれて、引かれるままに動くと。
私の体は虎の隣に移動していた。
驚いて虎の顔を見上げると視線は私には向いておらず、まだ男達に向けられていた。