ダチュラな私。
嘘つき
「お前は馬鹿か?」
目当てのお店に入って料理を注文して、水を一口飲んだあと。
向かい側に座る一成は、心底呆れたような視線を私へと向けてきた。
その言葉に心当たりがありすぎる私は言い返すことなんてもちろん出来なくて、助けを求めて一成の隣に座る虎に視線を向ける。
「俺らがおらんかったら、間違いなくどっかに連れ込まれてんで?」
だけど虎は私を助けてはくれなくて、一成の言葉に付け加えるようにそう言った。
虎はオブラートに包んで直接的な表現はさけてくれているけれど、私一人だったら、と想像すると背中に嫌な汗が流れる。
逃げられるか、逃げられないか。
あのときは必死だったから、冷静に考えられなかったけれど。
腕を振り払ったとしても、逃げ切れる確率はかなり低いだろう。