ダチュラな私。
二人がそんなことを思う必要なんてない。
もとはと言えば、私が勝手に二人から離れて歩いていたことが原因なんだから。
「うん。大丈夫だよ」
だから私はこれ以上、二人が無駄な罪悪感を抱かないように笑みをつくった。
実際に、手首は我慢が出来ないほど痛いわけではない。
家に帰ってから湿布でも貼っておけば、明日か明後日には痛みもなくなっているだろう。
だけど二人は私を見ながら、同じタイミングでため息をはいて。
私から視線を逸らして二人で目を合わせると、一成は怒ったような顔をして、虎は曖昧に笑っていた。
なぜ二人がそんな顔をしているのか、首を傾げていると。
「すみません。なにか冷やすものありませんか?ちょっと手首を捻ってるみたいで……」
一成はたまたま通り掛かったウエイターさんに突然話しかけると、私の考えなんてお見通しだとでも言うように、チラリと私を見てそう言った。