ダチュラな私。

「かしこまりました。
少々お待ち下さいませ」

ウエイターさんは一成の視線の先を追うように私を見ると、お手本のような笑顔とお辞儀をしたあとテーブルから遠ざかっていく。

その背中が見えなくなるまで見送ったあと、恐る恐る一成へと視線を向けると。


「嘘つくなよ。さっきから庇ってるくせに」

一成は怒っているときの目つきで、私を睨み付けていた。


私は本当に馬鹿だ。

嘘をつけば一成が怒ることくらい、嫌というほどわかっているくせに。

自分の学習能力の無さに嫌気がさす。


でもまさか、庇っていることがばれているなんて思わなかった。

庇っていることがばれないように、あんまり手を動かさないようにしていたのに。

さっきの様子を見るかぎり虎も気付いていたみたいだし、本当にこの二人は観察力があり過ぎると思う。
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