ダチュラな私。

言い訳をすれば余計に怒られる。

「ごめんなさい」

学習能力が無いなりに少しは学んでいた私は、素直に謝罪を言葉にする。


だけどまだ一成は怒っているらしく、目つきは鋭いし、眉間のシワも深い。

それでもどう言えば一成の怒りがおさまるのか、まったくわからなくて。

私はただただ上目遣いに一成の様子を観察することしか出来なかった。


店内は満席とまではいかないもののそれなりに席は埋まっていて話し声が聞こえてくる。

本当なら私達だって楽しく話しながら料理を待っていたはずなのに。

険悪な雰囲気の原因が自分だと思うと、だんだんと泣きたくなってくる。

……あのまま帰ったほうがよかったのかな。


「花」

泣き出したい気持ちを抑えながら、自分の行動を悔いていると。

虎に優しく名前を呼ばれた。
< 232 / 342 >

この作品をシェア

pagetop