ダチュラな私。
視線を一成から虎へと向ける。
虎は怒っている様子はなく、にこにこと温かい笑みを私に向けてくれた。
「心配するんは俺達の勝手やねんから気にせんでええ。やけど嘘はつくな。
あと、俺達やって悪いところあったんやから“ごめんなさい”はもういいで」
優しく、柔らかいその口調。
ここまで刺のない話し方を出来る人はなかなか居ないのでは、と思う。
柔らかい口調のおかげで、さっきまでの泣き出したい気持ちは静まっていく。
そして“ごめんなさい”以外で気持ちを伝えられる言葉を必死に探した。
「……ありがとう」
だけど必死で探したわりには気の利いた言葉は浮かんでこなくて、結局、そんなありきたりな言葉になってしまった。
でもこの言葉が正解だということは頷いている虎と、意地悪く笑っている一成を見れば一目瞭然で。
私達はやっと、いつも通りの雰囲気へと戻ることが出来た。