ダチュラな私。
雨は激しくはないけれど、細かい水の粒がゆっくりと体を冷やしていく。
ぞくりとした悪寒が背中に走って、俯いたまま腕を摩っていると。
「いいよいいよ!花ちゃんになにかあったら困るし」
「そうよ。それに送らなかったら、一成と虎に怒られちゃいそうだしね」
灰色の空を吹き飛ばすようなカラリとした明るい声で、二人はそう笑った。
上目遣いに二人を見ると、雨のせいでいつも完璧な二人のヘアスタイルは崩れている。
だけど二人は、暑いからちょうどいい、なんて言いながら楽しそうに笑っていた。
声と同じくカラリとした笑顔が、それは偽りのない言葉だと証明してくれていた。
「雨宿りしていく?」
私は雨ですら楽しんでしまう二人を見つめながら、腕を摩っていた手で自分の家を指差した。