ダチュラな私。

聖羅と爽吾君に風邪を引かれたら、それこそ私は申し訳なくて二人に会わす顔がない。

傘を持ってこようかな、と考えていると。

「じゃあまた今度、遊ぼうね」

「チビちゃん達が帰ってくるまでは、誰が来ても鍵開けちゃダメよ?」

二人はすでに片足を駅の方へと向けていて帰る体勢に入っていたので、私は言うタイミングを逃してしまった。


ちなみに、チビちゃん達というのは龍斗と龍希のことだ。

二人とも小さいわけではなくむしろ背が高いほうなんだけど、聖羅はいつも二人のことをチビちゃんと呼んでいた。

聖羅いわく“いくら背が高くても年下なんて全員チビちゃんなのよ”ということらしい。


チビちゃんと呼ばれることに、龍斗と龍希はいつも不満を口にしているけれど。

実は、本気で嫌がっているわけではないことを私は知っていた。

二人にとって、美人でハッキリとした性格の聖羅は“憧れのお姉さん”なのだ。
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