ダチュラな私。
灰色のまち
家の中はとても静かだった。
サンダルを脱いで廊下を歩くと、足が濡れているからかペタペタと音がする。
体もすっかり冷えていて、夏だというのに寒気がした。
とりあえず、お風呂に入ろう。
私は廊下を歩いている途中にカバンをリビングの中に投げ捨てて、真っ直ぐバスルームへと向かった。
廊下の突き当たりを右に曲がったところにあるドアを開けると、そこが脱衣所だ。
脱衣所の奥にはもちろん、お風呂場がある。
本当はこのままお風呂に入りたいけれど、浴槽にお湯が張っているわけもなく。
私は脱衣所の棚からバスタオルを一枚取り出して、とりあえずそれで体を包んだ。
そうすると少しだけ温かくなったような気がして、なんだかホッとする。
私はバスタオルで体を拭きながらお風呂場に入り、お湯の設定温度を高めにしたあと、蛇口をひねった。