ダチュラな私。
もし聖羅が携帯が入れ違っていることに気付いていたら、一緒にいる爽吾君から連絡があるはずだ。
だから連絡がないということは、まだ気付いていないのだろう。
どうしようかと考えながらリビングにかかっている時計をみると、家に入ってから時間は五分と経っていなかった。
ここから駅までは歩いて一〇分弱だから、二人はまだ近くにいるはずだ。
今すぐに家を出ればぎりぎりで、二人に追い付くかもしれない。
でももし、雨だからと二人が走って駅に向かったのならば追い付くことは不可能だろう。
この携帯から自分の携帯に電話をして駅の中で待っていてもらおうかと思ったけれど。
友達とはいえ、人の携帯を勝手に使うことにはやっぱり抵抗がある。
だけど、携帯がないと不便だし。
……とにかく、追いかけてみようかな。
私は帰ってきたらとにかくお風呂に入ろうと決めて、携帯だけを握りしめて家から飛び出した。