ダチュラな私。

だからそこまでしてくれた爽吾君にここまで謝られると、すごく気が引けてしまう。

なにより私に水を掛けたのは爽吾君ではなくてあの男なのだから。

爽吾君が謝る理由なんて、どこにもない。


「……私もごめんね。まさか爽吾の友達があんな奴らだとは思わなくて」

気にしないで、と声をかけようと思えば、今度は反対側から同じような言葉が聞こえる。

爽吾君から聖羅に視線を移すと、聖羅はとても落ち込んでいるような顔付きをしていた。


一昨日、爽吾君がタオルを借りにいってくれている間に聖羅には一応、事の成り行きを全て話しておいた。

すると聖羅は、あの男に対する怒りの感情をあらわにしていたけれど。

なにより、私が手を握られていたことを気付けなかったことに責任を感じてしまい。

爽吾君ほど言葉にしなくても、爽吾君と同じくらい私に申し訳なく思っているみたいだ。
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