ダチュラな私。

塞がれている口元。

無意味だとわかっていても、叫ばずにはいられなかった。

その叫びはやっぱり声にならなくて。

むしろ、男を刺激してしまったようで頬に鋭い痛みが走る。

私はその衝撃に耐えられなくて、雨でぐちゃぐちゃになった地面に倒れこんでしまった。


洋服越しに濡れた地面の感触が伝わってきて気持ち悪い。素肌の手足に泥がまとわり付く感触が気持ち悪い。

口の中には血の味が広がってきた。

泥にまみれた手で傷口を拭うことは出来ず、とにかく体を起こそうとした。

だけどそんな努力は、私に馬乗りになった男によって、踏みにじられた。


男は馬乗りになったまま私の肩を掴み、泥だらけの地面へと押し付ける。

そのときもう一度叫ぼうと口を開いた瞬間、それを見計らっていたように、口にタオルのようなものを押し込められた。
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