ダチュラな私。

洋服が裂けるリアルな音が響いたあと。

男は目を大きく見開き汚く笑うと、私の肌を好き勝手に触り始めた。


脇腹をなぞる手。胸元に吸い付く口。

気持ち悪い。怖い。悔しい。
だけど、死にたくない。

そんな感情だけが溢れてくる。

強気な自分と弱気な自分がくるくると入れ代わっていた。


粗大ごみ越しに見える黒い空からは、透明の雨粒が落ちてきた。

雨粒が目に入って視界が霞んでいき、それに合わせて瞼がゆっくりと落ちてくる。


……このまま目を閉じてしまおうかな。

そんな弱気な考えが頭の中を占領しそうになっていたとき。

スカートの中に、男の手が入ってきた。


その瞬間。

私は喉の奥で“助けて!”と、最後の力を振り絞って叫んだ。


そして、その願いが通じたのか男の手が下着に触れる寸前に。

私にかかっていた負荷が、消えた。
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