ダチュラな私。
救世主
なにが起きたのかわからなくて、叫んだときに反射的に閉じてしまった瞼を開く。
目に映るものはやっぱり黒い空で、さきほどとなにも変わっていない。
唯一変わっていることは、私にかかっていた負荷が全て消えていることだけだ。
よくわからないけれど……逃げるなら今だ。
そう思って起き上がろうとしたけれど、体に力が全く入らない。
焦る気持ちを抑えながら、体を横に向けて起き上がろうともがいていると。
「花!大丈夫か!?」
私以上に焦っている虎が突然、視界に入り込んできた。
私の前にしゃがみ込んでいる虎は、とても深刻な顔をして眉間にシワを寄せている。
だけどそれ以上になぜここに虎がいるのか理解出来なくて、私は固まってしまった。
虎は眉間にシワを寄せたまま、私の口に押し込まれているタオルを取り出してくれる。
そのおかげで呼吸が楽になったけれど、思い切り空気を吸い込んだからか、私はむせ返ってしまった。