ダチュラな私。
「ゆっくりでいいから起き上がり」
私の背中を撫でながら体を支えてくれる虎。
よくわからないけれど本当に助かったんだ。
私は撫でてくれる手の平の温かさと、支えてくれる腕の力強さを感じて、やっとそのことが理解出来た。
虎の手を借りながらゆっくりと起き上がる。
足に力が入らなくて立ち上がることは出来なかったけれど、なんとか座ることは出来た。
座る私を見て安堵の表情を見せた虎に、お礼を言おうと口を開いたとき。
嫌な音が聞こえた。
この音には……聞き覚えがある。
驚いて音が聞こえた方に視線を向けると、数メートル先に見慣れた背中があった。
「一成!」
一成の足元にはあの男がうずくまっている。
私の声に一成は肩をピクッと揺らし、ゆっくりと振り返った。