ダチュラな私。
フラフラとしながらもなんとか立ち上がりかけたとき、横から手を差し出される。
それはたくさんのアクセサリーで飾られている虎の手だった。
いつのまに隣に立っていたんだろう?
首を傾げながら視線を上げていくと、虎はいつも通り朗らかに微笑んでいて。
私は疑問を口にしようか迷ったけれど、結局、口にはせずにその手を掴んだ。
虎に支えられながらなんとか立ち上がると、右足が鈍く痛んだ。
右足を見ると足首のところに血が滲んでいて、サンダルは姿を消していた。
「ありがとう」
痛みを我慢してそう言うと、虎が優しく頭に触れてくる。
雨と泥でぐちゃぐちゃになっているはずなのに、虎はそんなことは気にせず何度も髪を梳いてくれた。
「お前達なんなんだよ。
花ちゃんは僕のものなんだぞ」
その動作に身を委ねていると、この世で一番聞きたくない声が耳に届いた。