ダチュラな私。

叫び声



とまっていた震えが再び始まる。

恐る恐るそちらを見ると、男はフラフラとした体でこちらを睨んでいた。

その姿はまるでゾンビのように私の目に映り、思わず虎の手をぎゅっと握る。

私が怯えていることに気が付いたのか、虎は私を引き寄せて自分の後ろに隠してくれた。


「花ちゃんに触るな!僕のものだぞ!」

だけどそれに安堵する間もなく、男の怒り狂ったような叫び声が空き地に響いた。

虎の体越しに男を見る。

すると男はさきほどよりも鋭く怒りをあらわにした目で、私と虎を睨んでいた。


虎は私があの男を見ていることに気付いたのか、とてもシリアスな声で見るな、と呟く。

言う通りに虎の後ろに完全に隠れたけれど、見えなくてもやっぱり怖くて。

震える手で虎のTシャツを握り締めていると、どこからか盛大な舌打ちが聞こえてきた。
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