ダチュラな私。
二人の姿を冷静になった頭でよく見てみると、私と同じくらいびしょ濡れで、髪も洋服も目茶苦茶になっていた。
虎はジーンズの膝から下が泥まみれだし、Tシャツにもところどころ泥がついている。
一成は服こそあまり汚れていないものの、タンクトップ一枚の上半身は寒そうだし、なにより右手に滲んでいる血が痛々しかった。
二人にはたくさんたくさん“ごめんなさい”や“ありがとう”を伝えなければならない。
だけど今はなんとなく、そんなことを伝えるような雰囲気ではなくて。
私は色々な気持ちを込めて、微笑んだ。
私が微笑んだのを見ると二人は満足そうに頷き、笑ってくれる。
良かった。笑ってくれた。
だけど、そう安堵した瞬間。
極限状態から解放されたからか、私の名前を呼ぶ二人の声を聞いたのを最後に。
私の意識は、そこで途絶えてしまった。