ダチュラな私。

「お世話になりました」

ひたすらに歩き回ってやっと見つけた長い迷路のゴール地点。

ナースステーションにいた師長さんに、私はぺこりと頭を下げた。


「いいえ。お大事になさって下さいね」

師長さんはふくよかな顔にシワをたくさん浮かべて微笑んでいる。

その微笑みを見ていると、シワでさえ最高のアクセサリーになるのだと思えた。


自分の顔にシワを刻みたいと思ったことはないけれど、こういうシワならいいかな。

師長さんの素敵なアクセサリーを見ながら、もう一度お辞儀をしてエレベーターに乗ろうとしたとき。

「あっ、佐山さん。さっき南(ミナミ)さんから電話があって、迎えに行くから待っててほしいと言ってましたよ」

後ろから大きな声で別の看護師さんに、そう呼び止められた。
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