ダチュラな私。

そこからは私も知っている通り、一成と虎は私を助けてくれた。

不幸な偶然と幸運な偶然。

それらが全て重なって、私は今、ここでこうしていられる。

もし二人が私を助けてくれていなかったと想像すると……背筋がゾッとする。


だけどあんな目に遭ったというのに、長年私の中に巣くっていたアイツに対しての恐怖心は消えていた。

それはやっぱり、自分の手でアイツを殴れたからなんだと思う。

もしあのとき、あのまま帰っていたらアイツのことはもちろん、助けてくれた一成と虎のことですら怖くなっていたかもしれない。


視線を自分の右手にやる。

指の付け根のあたりに小さな青アザが数個出来ていた。

だけどこのアザは、どれだけみっともなくとも私が自分の力で戦った証だ。


アザの部分を撫でたあともう一度、光輝く外の世界に目を向ける。

そこは私の心の中をあらわすように、クリアだった。
< 289 / 342 >

この作品をシェア

pagetop