ダチュラな私。

「……返事は今せんでええよ。俺、明後日地元帰るから。それまでにしてくれたらええ」

なにも言わない私に気をつかってくれたのか、すっきりとした表情で微笑む虎。

私はあと四八時間後には返事をしなければいけないということより、虎が地元に帰ってしまうということに衝撃を受けた。

寂しい、という気持ちが体の中でぐるぐると動き回る。


それが表情にも出ていたのか、虎は子供を落ち着かせるような優しい手つきで、頭を撫でてくれる。

とても心地好いそれに私は身を任せた。

……こうして触られても安心出来る男の人は、いまのところ虎と一成だけだ。

そんなことを考えながら撫でられる感覚を楽しんでいると、その感覚はふいに消えて。


「じゃあ、またな」

私が落ち着いたことを確認するように顔を覗き込むと、いつもと同じような言葉を残して虎は帰っていった。
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