ダチュラな私。
虎を見送ったあと家に入ると、家の中には誰もいなかった。
平日の昼間だから仕方がないのだけれど、少しだけ寂しく感じる。
私はリビングに入ってカバンをおくと、そのままソファに寝そべった。
ソファに頬を付けると、静かなリビングとは正反対のうるさい心臓の音がよく響く。
真剣な表情。
大人びた声。
漆黒の瞳。
どれだけ落ち着こうと深呼吸をしてみても、頭に浮かんでくるのは虎のことで。
そうなると落ち着いてなんかいられなくて体温は上がり、余計に心臓はうるさく響く。
どうしたらいいんだろう?
しばらくソファに寝そべったまま考えたけれど答えなんて見付かるはずもなくて。
唸ってみても、足をばたつかせてみても、どうすればいいのかわからない。
さっきは寂しく感じたけれど、こんなところを家族に見られなくてよかったな。
と、思いながらソファで寝返りをうとうとしたとき、ポケットの中で携帯が震えた。