ダチュラな私。
「まあ、花ちゃんはお前と違って可愛いからな。お前もちょっとは花ちゃんを見習って可愛くしてみろよ」
私と聖羅の間に流れていた柔らかい空気をぶち壊すかのように、爽吾君の声がどこからか降ってきた。
爽吾君の存在をすっかり忘れていた私が驚いて声がしたほうを見ると、爽吾君はすでに階段を上りきっている。
「……爽吾。殴るわよ?」
そして聖羅はそう言いながら私に背を向けて、真っ直ぐに階段を上っていった。
これは……危ない。
「聖羅!殴っちゃだめだよ!」
聖羅はやると言ったら絶対にやる子だ。
私は慌てて階段を駆け上ったけれど、有言“即”実行の聖羅に追い付くことは出来ず。
「痛っ!この馬鹿力女!」
「うるさい!この女顔!」
そんな爽吾君と聖羅の罵り合う声が、階段中に響き渡った。