ダチュラな私。

繋がりが切れた携帯電話をテーブルにおき、ソファの背もたれに体を預ける。

そして聖羅の言葉を胸の内で反芻しながら真っ白の壁を見つめて、虎のことを一つずつ、思い返していった。


最初会ったときのこと。
二人で遊びに行ったときのこと。
変な男達に絡まれたときのこと。
私を助けてくれたときのこと。

そして……さっき告白されたこと。

こうして思い返してみると、虎との思い出はけっして多いわけではない。

だけどそれでも虎は私のことを好きになってくれて、私も虎に惹かれている。


……どうすることが“自分に素直になる”ということなのだろう?

明後日までという期限を思いながら、はあ、と一つため息をはいて目を閉じる。


そうしてみると、聖羅からの言葉が頭の中でリピートされて。

閉じた瞼の裏には、漆黒の瞳が映し出されていた。
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