ダチュラな私。
天使再び
また通り過ぎてしまった。
私は一度足をとめてから振り返って、すでにその前を五度ほど通り過ぎたこじんまりとした可愛らしい花屋さんを見た。
虎を見送ったあと、私は真っ直ぐここにやって来た。
そこまではよかったんだけど、臆病な私はお店の中に入る勇気がなく。
通り過ぎてはまた戻る、という行動を繰り返していた。
私の行動はどう考えても怪し過ぎる。このままでは警察に通報されかねない。
次こそはお店に入らなくちゃ。
私は額に浮かぶ汗を拭ったあと“六度目の正直”を信じて、お店へ向かって歩き出した。
だけどお店が近付くたびに脈が異常なほどはやくなり、臆病な自分が顔を出す。
このままでは同じ結果になることは火を見るよりも明らかで、なんでもいいからこの臆病な足をとめて、と願ったとき。
「おねーちゃん?」
その願いが通じたのか、お店の中から黒髪の天使が顔を出した。