ダチュラな私。

久しぶりに見た黒髪の天使は、今日もパーフェクトな天使っぷりだ。

なんの変哲もないオレンジ色のTシャツと黒の半ズボンが、すごく可愛く見えた。

「やっぱり!おねーちゃんだ!
おにーちゃんに会いに来たの?」

私が天使に見惚れていると、天使は私の手をぎゅっと握ってきた。


目の高さを合わせるためにしゃがみ込むと、目が合った天使が満面の笑みで微笑む。

……どうやらこの最強に可愛い黒髪の天使は、私のことを気に入ってくれたらしい。

本当は私も天使の頭でも撫でて、再会の喜びを伝えたいところなんだけど。

「あっ、そうなんだけど、えっとね……」

あまり騒がないでほしいというのが、今の本音だった。


だからといって天使の好意を邪険に扱うこともできず、一人、慌てていると。

「あら、あなたは……」

頭上から、とても綺麗なソプラノボイスがふってきた。
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