ダチュラな私。
驚いて顔を上げるとそこにはとてもナチュラルで、それでいて品のある美人がきょとんとした表情をして立っていた。
すごく若く見えるけれど、その綺麗な顔立ちとエプロンを着ていることから、一成のお母さんだと判断する。
とにかく、挨拶しなくちゃ。
私は天使と手を繋いだまま立ち上がり、中腰の姿勢で口を開いた。
「は、初めまして。
私、一成君の友達で、佐山花といいます」
そう言い切ると同時にお辞儀をする。
あまりお辞儀をしたままというのもあれなので、ゆっくりと頭を上げていくと。
きょとんとしていた表情が、ぽかんとしたものに変化していた。
その表情はどんどんと変化していく。
その変化の速度は今まで出会った人の中で一番はやく、言葉では表せないほど多彩なものだった。
その豊かな感情表現を見ていると、なぜこれが一成に遺伝しなかったのかと思った。