ダチュラな私。

あっ、だけど天使はすごく感情表現が豊かだから、天使には遺伝してるんだな。

そう視線をお母さんから外して、手を握ったままの天使へと向けていたとき。

「人違いだったらごめんなさいね?確かまえに、一成が運んできたお嬢さんよね?」

私の心拍が跳ね上がった。


まさか……お母さんが知っているだなんて、思いもしなかった。

ビクビクしながらお母さんへと目を向けると、私とは対照的にニコニコと笑っていて。

その笑みを見ているととてもごまかす気になんかなれなくて、私は天使の手をやんわりと離し、体の前で手を組んだ。


「あのときはご迷惑おかけしてすみませんでした。ご挨拶もせず帰ってしまって……」

そのまま今度は謝るために頭を下げる。

頭を下げたまま、自分の礼儀知らずな行動に落ち込んでいると。

優しい手が肩に触れた。
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