ダチュラな私。

虎に告白された日の夜から、今日のことをずっと考えていた。

私の“素直な気持ち”はなんだろうって。


それを考えれば考えるほど、やっぱり虎に惹かれる気持ちはあって、それは偽りでも勘違いでもないものだった。

虎に惹かれる気持ちに素直になって、虎と付き合ったらすごく幸せなんだろうと思った。


だけど、そんなことを考えていると同時に脳裏を過ぎるのは。

意地悪で厳しくて、決して甘やかしてはくれない。

でも……私の過去も、現在も、未来までも考えてくれた、一成の漆黒の瞳だった。


それを何度も繰り返して、私はやっと自分の“素直な気持ち”に気が付いた。

私が好きだと伝えたいと思うのは、一成だけだということに。
< 324 / 342 >

この作品をシェア

pagetop