ダチュラな私。

やっぱり、そんなふうに思ってたんだ。

水を掛けられたときのことを思い出す。


「感情のない顔で笑って、適当に人をあしらって。なんて嫌な女なんだろうって思った」

一成の言葉に、顔がカッと熱くなった。

完璧に隠せていると思っていたのに、そうではなかったらしい。


自分がどれだけ嫌な女で間抜けな女だったのかを考えると、恥ずかしすぎて離れようともがいていた力が弱まっていく。

……もしタイムマシンがあるのなら、あの頃の自分に説教をしてやりたい。


「爽吾の家で会ったときも、焦った顔が見たいと思ったからあんなことしたんだ」

そんなことを考えながら一成の胸元に額をあてていると、頭上から声が落ちてきた。
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